まるで写真。でも、絵画である。
インパクトもあり、立体感もあり、触りたくなり、食べたくなる。
すごい!パンのまさに肖像画なる作品を描く画家さんがおられるのだ。
展覧会の告知を一目見た時から、作品はもちろんであるが、
独学で絵画をはじめられたというこの作家さんに興味がわいた。
そして、展覧会にも足を運ぶ。
パンの写真は無数にある。
でも、これは絵なのである。
瞬間の美をとらえる写真とは違い、緻密に繊細に時間を重ねて
仕上げられた絵画なのである。
写真は瞬間、絵画はプロセスを感じる。
写真は被写体そのものをとらえるので、見た瞬間に想像力が働くか
といえばそうではなく、むしろ後になってその写真がきっかけとなって
記憶が呼びおこされ感動する・・・そんなアートであると思う。
一方、絵画は作家がゼロから描き出す世界であるため、無数に
想像が広がり、いろんな感情が沸き上がる。
写真は現実を拠点にし、絵画は空想から始まるといってもよいかも
しれない。
今回拝見した、パンの絵は、まさに肖像画。まるで、パンにいのち
が宿っているかのように、その豊かな表情を感じ、味わうことが
できる。
大好きなコロンビアの画家、ボテロのふくよかな作品に刺激を受け、
パンの絵を描こうとされたという動機自体もとても興味深い。
とにかく見ているだけで、幸せになる作品。
腐らない、かびないパン。
だから、一生 焼き立てなのである。なんと!
もしも、いつの日か、食事ができない日が来たとしても
この1枚があったら、元気が湧いてきて、パンが食べられるように
復活しよう!と思えるような気がしている。
もしかしたら、実際にパンを食べなくても、見ているだけで
十分、満ち足りるとも思う。
久しぶりに独創的でありながら、わかりやすく、見る人に幸せを与えて
くれる素晴らしい作品たちに出会え、新たな発見と心地よい刺激をいた
だいた。
なんだか、パンの歌でも書きたくなってきた・・・🎵
(そういえば、その昔、そんな曲も昔あったかも・・・。)
この作品展は、9月22日まで横浜の高島屋で開催中。



