あれから24年。

1枚の紙焼き。本棚の写真立てに入れてある。
今朝はこの写真を眺め、24年間の歳月を振り返る。
写真は、まだワールドトレードセンターが存在していたときの写真。
だから四半世紀以上前に撮影したもの。
25歳での初NY訪問から、すっかりこの町に魅せられ、何度も何度も足を
運んだウォール街。トリニティ教会の前から撮影したツインタワーだ。

それが24年前の今日(時差を考えると今日の夜になるが)、この高層ビルに
ユナイテッド機が突っ込んだ。
世界中がかつて見たことのない光景を見ることになった。
誰もが一瞬、映画か?と思ったに違いない。
シカゴ経由でNYに向かっていた私は、この事件のおかげで、
予定どおりアメリカに入国できず、アラスカのフェアバンクスへ飛び、
現地のホテルであの衝撃の映像を見た。実感が湧かなかった。
帰国後、予定していた3周年の感謝の会ができなくなると、現地の
公衆電話から何度も日本に電話していたことを思い出す。

あれから、世界が変わった。
分断はあのときから、始まった。
いた、前から分断していたけれど、明確になったということだ。
あれから、世界はさらに悪化した。

この写真を見て、ワールドトレードセンターに上ったときにガイド
してくれた黒人の男性のことを思い出した。
その人は、今はどうされているだろう?元気ならいいけれど・・。
あのとき、このビルから眺めたNYの夜景は美しかった。
アメリカンドリームを感じた。

しかし、あの事件ですべては一変。
このビルが倒壊し、1か月後に訪れたこの周辺は異臭漂う
異様な光景であった。
1日ズレていたら、自分も事件に巻き込まれていたかもしれない。
そんなことを、全身で感じた事件後のNY。
家族を探す人々が貼ったポスターをセントラル駅構内や街中で
多く見かけたこと、町中で流れるアメイジンググレイス。
これまで見たことのない恐怖心と、異様な高揚感を感じた。

あれから24年。
先日、あのフライトに同乗していた方と久しぶりに再会した。
少し記憶が薄らぎかけていたけれど、あの日から、
再び、あの時の記憶が鮮明によみがえり、
幸運に感謝するようになった。

戦後80年の中で、テロとの戦いが始まったのはここから。
人間は何をする動物なのかよくわからない。
人間同士なのに、憎しみ合って、奪い合って・・・。
今も続いているし、ある意味、情報化が進んだことで
よくない方向へ進んでいると感じる。

911のことは、忘れない。
あのビルがあった時代のことも、一生忘れない。

憎しみから慈しみへ、怒りから笑顔への転換、昇華は
不可能か?
いや、可能だと思いたい。

世界から戦いがなくなるように、祈る1日にしたい。

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