この夏、ガザで空爆で亡くなったジャーナリスト。
何度か戦地からの取材レポートで見たことのある若い記者である。
つい最近 その方の追悼番組を見た。戦地で生まれ育った不幸を
背負い、何とか世の中を平和にしたいと命がけで戦地の現状を
伝える事を使命とし、そして空爆の被害に遭い一生を終えた短い
人生・・・。
このことを知り、改めて戦争の残酷さと伝える仕事の厳しさを
重く受けとめた。
戦地で取材を続け、その惨状を伝え続けるジャーナリスト。
そのガザの青年は、モハメッド マンスールさんという方であるが、
彼が日本のニュースに出演するとき、いつも「PRESS」という文字が
大きく見えるチョッキを着用しているのが印象的であった。
このネット社会で、新聞など紙の媒体の存在が衰退するなか、
この「PRESS」という文字が大きく自分のなかに刻まれる。
記者が現地で苦労して取材をし、それを書き、撮りおろしたものが印刷され
(まさにPRESS)世に配布され、多くの人に伝えられる・・・。そんな
時代はもう終わろうとしている。PRESSしなくても、ネットで伝えられる
世の中になってしまった。
しかも丁寧に取材を重ね、報じられる一方で、嘘やごまかしが器用に
加工され、それが拡散されるフェイク報道の拡大。
こんな悪行が広がるなか(あえてそう言わせていただく)、
命をかけて取材し、真実を伝えようとするPRESSの方々の存在と
その思いを思うと複雑な気持ちになる。
フェイク報道に振り回されるなか、今回の記者の死は、私にとっては
戦争と報道の現実を改めて知る悲しい出来事として、心に残る。
戦争をこの世からなくすために、真実を伝えよう。
と命をかけるジャーナリストという職業とその生き様に改めて
敬意を表し、マンスールさんの安らかな眠りを祈りたい。
そして、戦地での取材などなくなる世の中になってほしい。
PRESSという文字がなくなるとき、報道はどうなっているだろう。
どんな時代になっても、真偽を見極める力、正しい判断ができる
人間のひとりでありたい。
そして、戦地で命がけで取材をし、真実を提供し、思いを届けてくれる
「真の伝え人」としてのジャーナリストの仕事に対する思いを理解し、
応援し続けたい。
「PRESS」の文字とジャーナリスト
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