ただ、それだけのこと。

敬老の日が近づいているせいか、きんさんぎんざんの
映像を流すコンテンツに出会った。
きんさん、ぎんざんは名古屋出身の双子の姉妹。
名古屋の人だったのか。そういえば、方言が・・・。
若い日は名前と、双子のかわいらしいおばあちゃんと
いう印象しかなかったが、自分も齢を重ね、また父母の見送り
や、高齢者の方との交流を多くいただく今となっては、
きんさんぎんざんの存在を知ると、本当に偉いな。
ただその一言に尽きる。

明治の時代、農家に生まれ、家の仕事を手伝いながら
学校に1日お気に通い、姉妹仲良く遊びながら育つ。
若くして近所の農家に嫁ぎ、出産。当時は子だくさんの
時代。子育てと野良仕事。その忙しい日常を過ごすだけ
でなく、息子や弟を戦争にとられ、弟さんを失くされた。
その後は伊勢湾台風で家がすっかり流されてしまった・・。
インタビューでは「戦争より怖かったわ」と台風で瞬間に
してすべてを失くした経験について語られた一言も心に
響く。

まさしく市井の人であるが、時代は明治、大正、昭和
に平成・・・。各時代のなかを、こつこつと生きてこら
れた100年人生。

以前はすごいおばあちゃんたち。と思うだけであったが
今となれば、母が重なり、今も元気にしておられる母の
友達~100歳に近い方~のことが重なり、長寿とは
大変なことだと改めて感心する。

人生はいいときもあり、悪いときもある。
気にせず、生きること。
夜が明ければ1日がはじまり、日が暮れれば1日が終わる。
人生は、ただ、それだけのこと。
生きた人だからこそ言える重い言葉である。

笑いながら話されるから余計に重く感じてしまう。

田んぼ仕事をしながら、おひさまの動きとともに、
日々を暮らした。そんな普段の様子が目に浮かぶ。
母にもそんな時代があった。
ふと、今はマンションになった田んぼ仕事をしていた
両親とともに田んぼで食べたごはん・・のことを
思い出した。ああ、そんな時代もあった。

寿命とは、わからない。
わからないけれど、一生懸命生きていたら、気が付いたら
100歳を迎える。そんなことだろうか。

自分がいつまでの寿命なのかわからないけれど、
コツコツ生きることで、寿命はつくられるのか?

笑顔で感謝。かわいらしさ。
あの姉妹からにじみ出ていた、長寿のオーラ。
生きているだけで人を幸せにする。

ただ、それだけのこと。

そう、人生は、大したことではないのだ。
そう思えば気も楽になる。

敬老の日コンサートの話題がまたひとつ増えた。

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