聴くかき氷?

京都風に言えば、祇園祭が終われば夏本番らしい。
梅雨明けの記憶もないが、この厳しい暑さから、
そう呼んでよいだろう。
命がけで移動する。と言うと大げさかもしれないが
徒歩で移動する場合は、昼間を避けて、早朝、夕方に。
あと2か月の辛抱と毎日カレンダーとにらめっこ。

先日、お茶をたしなむ友人が教えてくれたが、
この季節の茶会は冷茶でのおもてなしもあるそう。
冷房のない茶室でもあったので、とても良かったと
聞き、その様子が浮かび、こちらも笑顔になる。

また、風鈴の音が聞こえてくると、「いいねえ」と思う。
といっても、高層ビルからはその音は聞こえないし、
歩いていて軒先から聞こえるというのもなく、
今は、もっぱら売り場で聞くぐらいであるのは、
ちょっと寂しいが、
音で涼感を楽しむことは、とても風流で、日本的と
思う。

私の場合は、時間が取れたらピアノを弾くこと、
移動時には、聴くことでしばしの避暑を楽しむ。
かき氷にも、さまざまなメニューがあるように、
避暑音楽もいろんな楽しみ方がある。

たとえば、ベートーベンはこの季節はちょっと暑い感じ。
もちろん深遠さのなかに、暑さを忘れて聞き入ることは
あるし、テンペストのような曲であれば、水を感じる。
でも、これは嵐であったり、激流が想像されるので
涼感とは少し異なる。

そんななか、この季節にちょうどなじむのがショパン
の数々。
鍵盤の上をコロコロ転げていくような、軽快かつ美しい
短音が、時にハーブティーのように、シャワーのように
感じられる。小曲ならば、うちわで風を仰ぐような感じも
楽しめる。

今日はノクターン?ワルツ?マズルカ?プレリュード?
エチュード?ソナタ?いろんなジャンルがあるが、
そのなかから、弾けそうなものを弾き、新たに聴く曲は
気に入れば、覚えていく。
かき氷のシロップを選ぶように、曲を選ぶのも楽しい、。


そんなわけで、快適な夏時間にはショパンがおすすめだ。
ふと、ジョルジュサンクと出かけた避暑地での
時間を想像しながら・・も良いかもしれない。

工夫次第で、夏の楽しみ方も増える。
と、ピアノのある場所まで行きつくまでが暑さとの
戦いではあるが、そのうちに夏も過ぎ去るだろう。




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