さざなみのない、ドナウへの憂い。

ウィンナーワルツの代表作のひとつ、シュトラウスの「美しき
青きドナウ」を歌う、ウィーン少年合唱団の美声に心が高揚
した少女時代。あの頃から、ヨーロッパへの憧れがあった。
そして、ルーマニアで生まれた「ドナウ川のさざなみ」は
19世紀末のパリでの万博で初演奏されたそうであるが
この曲は自分に東欧の憂いをも教えたが、Eマイナーから
はじまるこの曲の高揚感が好きでたまらず、東西のヨーロッパを
むすぶ川として、さらに憧れを抱いた。

その後、15年ほど前のことか、ブエノスアイレスの楽譜店でも
このワルツ曲の譜面をみつけ、世界中で演奏されていることに
感動し、自らもアレンジして演奏するようになった。
第二次大戦時に、バンドネオンがドイツから南米に戦火を逃れ
かなり送り込まれたという説があるので、もしかしたら、
そのときにこの曲も一緒に伝わったのか?これは私の推測で
あるが。
最近では、なんと近鉄特急のホームでこの曲が使用されて
いることを知り、近鉄への企業イメージが一気に上がった。
なんというセンスのいい企業だろうかと・・・。

と、「ドナウ」にまつわる話題はつきないが、ラテン語で
河の神を語源とするこの川はまさに東欧をつなぎ結ぶ海路と
して人々に愛されてきている。

最近、そのドナウの水量が激変して、干ばつ状態にあるという。
上流はアルプスだというから、雪どけ水の減少がしているのか、
いずれにしても地球の温暖化がこんなところにも影響してきて
いることに危機感を抱く。

水運を担ってきた、人々の暮らしを支えてきたドナウが
「さざなみ」もなく、からっからになってしまっている
とは、深刻すぎる事態。
ニュースでは、現地の人がそこに住む動物たちはどこへ
いってしまったのか?と嘆いておられた。
川底に眠っていた戦争の道具もこの干ばつでみつかって
いると聞くと、複雑な思いにもなるが、とにかく、
水不足にあえぐ現地の人々のご苦労を想う。

ドナウを歌うワルツのように、気持ちよく流れてほしい。
早くその状況になるように、水位が戻るように祈る。

世界のあちこちでの温暖化は、想像を絶する情景を
生み出している。
温暖化の原因の二酸化炭素ガスを大量に排出する人たち。
減らす努力をしない人たち。
戦争を続ける人たち。その練習をする人たち。
その働き自体が、ドナウ川のこの不幸にもつながって
いることをわかっているだろうか。

ウィーン少年合唱団の美しき声色を思い出し、
ドナウ川の流れの復活を心から祈りたい。

河なくしては、人は生きられない。
日本でも、他人事ではない日が来るかもしれない。

ワルツを歌い、踊り、人と自然が共生すること。
当たり前と思っていたことが・・今は昔に
ならぬように。

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