移動中に聴く音楽はその日のさまざまな状況や気分により異なる。
自作の曲から、世界の名曲、お気に入りのシンガーの曲・・・。
ほんとうにスティーブ ジョブズさんには感謝しかない。
昨日は演劇の曲の打ち合わせ後、ショパンのノクターンで初めて
の曲を弾き、そこからアドリブであれこれピアノと戯れ、最後は
タンゴを弾き、13日に開催するディナーショーのことも考えつつ、
まとまらないままピアノタイムを終了し、移動を始める。
いろんな曲が頭に残っていたなか、ずどんと強い音楽を吸収したい。
と思ったら、アルゼンチンタンゴの名曲アルバムCafe de los Maestros
が浮かび、スマホから選曲。
名鉄電車の駅にいるのに、たちまち世界は南米のパリ、ブエノスアイ
レスの夜に変わった。
バンドネオン、バイオリン、そしてピアノ。そして歌。
アルゼンチンタンゴは100年ほど前が黄金時代の第一期と言われている
ようであるが、瞬間にその世界にタイムトリップした。
生まれてもおらず、その当時のことは映像や写真でしか見たことが
ないが、音楽がくっきりとその当時の様子を自分に描かせてくれる。
写真はもう10年以上前に撮影した、ブエノスアイレスの市内にある
7月9日通りに立っている建国400周年を記念したオベリスク。
白い塔が夜になるとこんな世界になる。
アルゼンチンタンゴは夜の世界だ。
はあ、懐かしすぎる。
夢中になって何度も足を運んだタンゴの店たち。出会った演奏家。
憧れだった女流歌手、ビルヘルニア ルーへ。晩年に彼女の生きる
歌声を聴いたことで自分の歌への意欲に火が付いた。
シンガーとは魂を表現すること。
ああ、再びあの街に会いたい、触れたい。
音楽というのは、どこまでも人の心を高揚させ、ドラマチックな世界を
魅せてくれる。
気が付けば、電車をおりてから、道を歩きながら。ステップを
踏んでいる。
幸せな瞬間は、こんなときなのかもしれない。
わがブエノスアイレスは、魂のふるさと。
ダイナミックなタンゴオーケストラの音色が、写真とともに
蘇ってくる。
