

ヴァイマール。ドイツにある世界遺産の町で、バウハウス誕生
の町としても有名で、憲法にもその名がついているため、なぜ
かその名前だけは学生時代から知ってはいた。そのため、つい
でがあれば?一度はその町に足を運んでみようとフランクル
フルトから足を伸ばしたコロナ前の冬。
駅から30分は歩いたかもしれない。初めての町はきょろきょ
ろして歩くのがいい。ナビに導かれて目的地に・・というのは
感動が少ない。
旧市街の先に森の入り口があった。
そこにみつけたリストの家。上の写真は、その室内。おそらく
リストが森の散歩から戻って弾いたり、作曲したであろうピア
ノたち。
そこには写っていないが、ベートーベンの肖像画も飾ってあった。
超越技巧とか、タイトルを見るだけで、絶対無理!と思う難曲
が多いリストの作品であるが、実は作曲だけでなく、編曲も数
多く手がけており、なんと、ベートーベンの交響曲をピアノ用
に編曲したものもある。
ちょっと背伸びして、その楽譜を手に入れてみた。
なんと、オーケストラの曲をピアノ曲にするとは!
まぎれもなく、天才である。
もしかしたら、この写真の部屋で書かれたのかもしれない。
と、懐かしい部屋を思い出しながら交響曲9番を弾きはじめる。
あの「歓喜のうた」が4楽章に入っていることもあり、なじみ
深い。
さてオーケストラ曲がピアノ1台、指10本で演奏できるように
なっている。
初見で弾き始める。なんとか弾けるところ、難しいところ・・。
迷路の中をさまよっているような感覚で初見を楽しむ。
しばらくして、なんと長いのだと、その楽譜のボリュームに
改めて感心しながら、ピアノ曲とは違う長さにちょっとしん
どさも感じた。
ひとりオーケストラはなかなか骨が折れる。
でも、この経験はとても刺激的。
ピアノのおかげで、リストのおかげで、交響曲がひとりで
演奏できる。
楽譜をめくるのも大変だから、そろそろタブレット端末を
使う方が良いかも?
となると、楽譜も入手し直しだ。
いろいろ思いながら、格闘した。
ひとりオーケストラが楽しめるなんて、何と贅沢なこと。
リストのおかげ、そしてもちろんベートーベンのおかげ。
実は前回 リストの家から駅に戻る途中、片方の手袋を
落としてきた。
今はわざと、置いてきたと思うことにする。
リストの冷たい指を守るため?