65年の歴史、美味しさの記憶を永遠に。

宅急便が届いた。
「あれ?この前、注文してもう届いていたのに?」
このウィンナーを製造する会社の応援団長からのお届けであった。
「これ、最後の商品です。ご愛顧ありがとうございました」
とメールをいただき、ああ、これが本当の本当に最後なのか・・
と胸があつくなった。そして、冷凍庫に丁寧にしまう。

この十数年の間、何度か何かあると贈っていただき、自然な味わい
で、いただくたびにドイツのミュンヘンの駅や街なかのレストラン
で食べた「ブルスト」を思い出し、日本にもこんな本場の
味がするウィンナーがあるのだと感心していた。

食べる方はいつも自分勝手で、商品は永遠にあるものだと
思い、いつでも食べられると思っている。
ところが、企業も生き物であるから、永遠に創り続けることは
容易ではない。

こちらの企業も1961年の創業以来、ご家族で手作りの
ハム・ウィンナーづくりを続けてこられたが、高齢と世代
交代の困難から、この2月末で事業を終了された。

昨年後半あたりからもうそろそろ終わります・・・とお聞きしてから、
またまたお客の身勝手で、急にまとめ買いをした。
なくなると聞くと、欲しくなるのだ。
(先日書いたが、間もなく閉店するデパートに急に何度も行く心理と
同じだ)

そして、届いた品を格闘しながら、狭い冷凍庫に保管し、
身近な人に「これ、最後のウィンナーだから美味しく召し上がって」
と言いながら差し上げ、自分でも焼いて、ゆでて、スープにホットドック
に・・と大切にいただいていた。
なくなってしまったら、最後だから大切に、大切に・・。
そんなところへの、本当に最後のお届け。

改めて胸がジーン。このハム会社の方にはお会いすることがなかった
が、こちらをずっと応援されてきた、応援団長を通じ、
この素晴らしい商品と出会えた。
どんな思いで創業し、継続し、そして廃業していくのか・・・。
自分が生まれる前から事業を始めておられたと知り、
まさに、昭和・平成・令和とハム・ウィンナー一筋の人生を
歩んでこられたのだと思うと、商品が愛おしく思えてきた。

「家族に食べさせたい味をお届けしたい。」
確か、リーフレットにそんなメッセージがあったと思い出す。
そう、一番大切な人にこそ、安心安全な美味しいものを
と願う人々にずっと愛されてこられたのだ。

いただいた最後のグルメウィンナーたちを、改めて作り手の
思いを想像しながら、なんとか続けられないかと思案を重ねて
こられた応援団長の思いをしっかり受けとめながら、
じっくり、美味しくいただきたいと思う。

このところ、創業60年を超えられた企業との出会いが
ある。続ける、やめる。いずれも簡単な決断ではない。

この言葉がなかった頃からの粋なネーミング。
東京生まれの「グルメウィンナー」。
長らくのご尽力に心から拍手を送りたい。

長年お疲れ様でした。
ほんとうに美味しいものは、人生の大切な思い出になる。
改めて敬意と感謝を込めて・・・。

カテゴリー: Essay (Word) パーマリンク