どらやき付きバースデーツアー

父の誕生日。父のことを共有できる人にふと
会いたくなる。

誕生ケーキではないが、どらやきを買って、
地元の商店や叔父宅・・・をまわり、
「今日はお父さんの誕生日なので、ケーキの代わりの
お裾分け」といって、配る。
誕生日?ということで、笑みがこぼれる。
命日というと悲しいが、誕生日の方がやはりいい!

そんなことで、お世話になった人たちと
父母にまつわる会話をして、父が長年歩き続けた道を
てくてく歩く。
そして、いろんなことを思い出す。
人はいなくなっても、道は残る。
道がある限り、思い出すことができる。

途中、元気な姿を最後に見た、父が毎日通った喫茶店で
父が好きだった、焼きたまごサンドをテイクアウト、
そのまま、お墓に向かう。
そして、ハッピーバースデーの歌を一人歌い、
その後、実家に寄って、父母の過ごした日々を改めて
感じながら・・。

以上が父89歳のバースデーツアー。
束の間のスペシャルツアー。

なんてことはない、日常のなかに少しだけ
思い出を辿る時間をつくる。
それだけで、また父の存在が色濃くなる。

こんなことをしながら、父と生きた自分のことも
ふりかえる。
そして、今日からまた歩き始める。

思い出す限り、人は生きている。
やはり、そうだと思う。



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