怪我をされて、外出ができない知人のお見舞いに
伺う。何もできないけれど、せめて栄養はとってほしい。
と弁当やパンなど持ち込む。料理もままならぬ状態ではと
思ったため。
でも、幸いなことに今の世の中、宅配サービスも進んでおり、
買い物に出られなくても三食の食事はなんとかなるようだ。
というわけで、食品の備えもあり、その点の心配はなくなったが
とにかく、以前のように外出ができるようになってほしい。
とにかく元気を届けたい・・・。
今はコンサートに来ていただくことはできないけれど、
回復されたらぜひおいでいただきたい。
そんなわけで、「今日は特別にここで歌います。」
と言うと、瞬間びっくり?!そりゃそうだろう。
少し、緊張の瞬間をおいて、
聴いていただきたかった最近のオリジナル曲を2曲
アカペラで歌う。
「歌のブーケをあなたに」そして、組曲NOBUNAGAの夢より
「楽市楽座~ぎふ恋まち歌」。
1曲づつ解説をしてから、歌う。
そうすると、じっとじっと聞き入り、曲が終わるころには、
少し涙目に・・・。
素晴らしい歌をありがとう。としみじみ言ってくださり、
ああ良かった。とこちらも、ついうれしくなった。
まさかマンションの一室で、テーブルに向かい合っての演奏。
ピアノも何もない。身ひとつ、声ひとつのパフォーマンス。
単なるお見舞い、食事のお届け、久しぶりのおしゃべりの時間に
突然のアカペラ演奏が加わり、ちょっとハレの時間になっただろうか。
帰り際、「元気をもらいましたよ」と笑顔で言ってくださり、
こちらもすがすがしい気持ちで帰路につく。
翌日は感動の余韻が残っているようなお礼メッセージが届き、
こちらにも余韻が伝わる。
「また歌いに来ますよ!」
ひとりのためのコンサート。
なんと特別な時間だろうか。
体一つで、また出かける。必要とされるところへどこまでも。
出前コンサート。もっと出番を増やしていきたい。
飛んでいって歌いたい相手はまだまだいる。
高齢のため、病気のため、動けない人のことが目に浮かぶ。
お元気なうちに、と思うと急がねばである。
アカペラコンサート、二人きりのコンサート。
世界最小のコンサート。
究極のコミュニケーションの時間でもある。
さらに前に進もう。次は待っているあの人に・・・。