「町中華」という存在を応援する

現在進行しているプロジェクトのひとつで、町中華を応援する!
というテーマで、人手不足、経験不足の厨房で役立つ道具を
開発するという取り組みをサポートし続けている。

もともと、外食全体の厨房を視野に入れ道具類を幅広く作って
いるメーカーであるが、商売は問屋にお任せという昭和の
スタイルのままできたが、自分たちが直接マーケットを知らねば、
現場の役に立たねば!ということでターゲットも明確にし、そこの
課題解決を行うことを推進した。

そこで今回狙ったのが「町中華」。インバウンド客からすると
日本はラーメンが美味しいと行列ができる店も多いが、
そのルーツのひとつは町中華だと思う。
日本人の中華料理との接点は、まさに町中華。
テレビ番組でもそれをテーマにしたコンテンツもあるが、
郷愁を感じる。
ということで、またプロジェクトのことは改めて書き残したいと
思っているが、まずは「町中華」のこと。

テレビでは時々目にするし、これまでも餃子を強みに店のブランディングを
手伝ってきた事例もあるため、町中華は自分なりに馴染みがあるけれど、
実際、何年かお店に行っていない。

近くに行きたい店がない、というのもあるが、ご縁がなかった。
そんななか、ある商店街を歩いていて、ある店の前を通り、テレビ取材もあったと
店頭にも貼ってあるので、まあ美味しいのかなと思い、導かれるように
お店に入った。

入ったとたん、すべてが昭和に戻った。
カウンター、テーブル、厨房が見え、夫婦らしきお二人でやっておられる様子。
いろんなカレンダーやポスター。見ているといかに地域に根差しているか、
お店の方の趣味などもわかって、興味深い店内。
テレビがつけてある、ひとりのお客さんがラーメンを食べている・・・
とにかく懐かしい光景だ。なんとなくうれしくなる。

早速、ビールと餃子をオーダー。
歩き疲れてのビールは美味しい。さて、待望の餃子。
。。。であったが、こちらは正直・・・まったくであった。
もしも、生まれて初めての餃子であれば、こういうものかと思ったかも
しれないけれど、見た目も、そして味も・・・。
とにかく・・・失敗作であるが、普通に提供され、そこに驚いた。
ああ、昔からここでずっとやってきているお店であるから、
こういうもんだと思ってやっているのかな・・・・。
美味しい餃子を知らないのかなといろいろ思ったけれど、
笑顔で大将がこちらを見ているので、まずいといえず、残さず食べた。
ちょっと苦行。
まあ、お腹がすいていれば、これも美味しいと感じる。ということで
納得する。

町中華。
時代の流れにいち早く乗らないで、地道に地域のなかで
生きてきた。
それでいい。昔のまんま。
味がどうかということではなく、もはや存在が大切なのだとも
思う。

職業柄、ついつい、こうした方がいいよ。と言いがちであるが
今回は、なにも言わず、会計をして店を出る。

きっとあの町でそういう店に入って、そういう珍しい餃子を
食べたことを思い出し、そのときにあの大将と奥さんの顔を
思い出すのだろう。

そう、町中華とは、存在が大切だ。
これからも残ってほしい。
ふと、地元で子どもの頃から利用していた中華料理店を
思い出した。今度訪ねるとしよう!

ということで、最近は町中華支援がわがテーマのひとつ。
続けるとしよう。



カテゴリー: Essay (Word) パーマリンク