酷暑のなか、久しぶりに訪ねた金沢。
ひとつめのミッションである打ち合わせが
終わり、次の待ち合わせまでの時間のこと。
土地勘も薄らいでおり、記憶をたどりながら
街中から駅まで歩く。
歩けない距離ではないはず・・・。
ただ、この暑さだ。
それに加え、すでに途中で道を間違え、
暑さでたまらず、呼んだタクシーも道を
間違えてちょっと不満が募る。
加えて、昔は静かだった美術館も
インバウンドで混雑・・・など・・・。
正直、どこも日本は変わらなくなった、
まさに小京都。いいも悪いも・・・。
と思いながら、駅に向かう。
とにかく日差しを避けたく見つけた
地下道の入り口。
これは駅まで通じているのか?
交差点だけのものか?
ちょっと考え立ち止まっていると、声をかけられる。
「どうかされましたか?」
若い男性だ。
「いや、この地下道、駅までつながって
いるのかなと思って。」
「ずっとはつながっていないですけど、
地下の方が涼しいですよ。駅に行かれるん
ですか?」
「そう。つながってないか・・でも
ずっと外を歩くよりましですね」
「良かったら、僕も駅まで行くので
ご案内しますよ」
とのこと。なんだか、とても親切なその
応対ぶりに感心して、一緒に歩くことにした。
おそらく数分ほどの会話だっただろう。
地下道を歩き、途中から地上に出る。
でも、ずっと話していたため、暑さを感じなかった。
聞くと、金沢大学の学生さんだ。
明日、教員採用試験で実家である福井に帰る
のだということ。
ふと、40年前?のことを思いだした。
そして、金沢大学・・・。
もしかしたら、後輩になっていたかもしれない
人と出会ったのか。結果はそうではないけれど。
「理科か数学の教員免許をとりました」
「へえ、私は社会科をとったことがあるよ」
親子ほどの年の差でいつの間にか親しい口調で
話していた。
「今の日本も世界も大変だから、子どもたちが
夢を描けるような未来にしないとね。」
「はい、そういうことができる先生になりたい
です。」
「先生も夢ですけど、政治にも興味あります」
など、短い時間にいろんな話題にお互いに反応した。
今の日本や世界の憂いについても意見を交わし、
若者たちが置かれている現状も自分なりに理解でき、
心に響いた。
大変しっかりしているのと、あまりに波長が
合い、あっという間に打ち解けた。
気持いいキャッチボールを楽しんだ。
目的地が見えてきた。
「じゃ、ここで大丈夫。ありがとう。明日
がんばってね。」
笑顔で別れた。
ああ、いい出会いをいただいた。
一気に金沢の町の印象がグンとあがった。
最高のおもてなし大使に出会えた。
今日は、彼の試験日だ。
心からうまくいくことを祈っている。
自分が京都で試験に臨んだときのことを
思い出し、結果、違う道にきているが、
それはそれ。
今、まさに真剣勝負に向かう、
学生さんに心からエールを送りたい。
きっと彼とは、また再会する。
そんな予感も楽しみながら・・・。
最高のおもてなし大使
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