結局、店は人なり。

ある飲食店に行った。その企業はいくつかの業態を抱えているが、
基本メニューは全業態でうまく共通展開しているので、どの店に
行っても、同じメニューを楽しめるという安心感はある。

今回は新しい業態の店舗に出向く。
店はきれいで賑わっている。メニューはタッチパネルと今どきの
セルフ方式である。
他の業態でオーダーしたことがある料理をタッチパネルで入力。

料理が提供されてきた。確かに他の店でいただいたことがある
商品と同じ。でも違う感じもする。
全体的にこぶりになっている。
これは原材料高騰のなか、値段をおさえるための工夫かもしれな
いので、それは理解できる。
味も、そんなに他の店と変わらない。
美味しいといえば美味しい。

でも、なんとなく気が乗らない。

次々と電話を受ける声が聞こえてきて、予約でいっぱいと断って
いる声を聞いていると、早く帰らないといけない感じになって
くる。
いつもゆっくり話しをするお客さんとも、なんとなく、
「今日はもう帰りますか」
といつもの会食時間よりかなり早めに会計をして、店に出る。

お客さんとは
「もう年齢も年齢だから、そんなに食べられないですね。
もうお腹いっぱいですね」
といった、たわいもない会話をしながら、駅まで一緒に行き
笑顔で別れた。

そのあとひとりになって、なぜ、昔通った同じ店には感動
したのに、新しくきれいな店に感動しなかったのか。を
分析しはじめた。
と同時に、昔の業態の店舗が懐かしく思えてきた。
あのスタッフ、みんな元気かな。
古くて、きれいとはいえない店だったけれど、
とても居心地が良かったな・・・。
店長やスタッフの顔が次々浮かんできた。

おそらくその前通った店にも開店当時という時代はあって、
その時はもしかしたら、もっと違う印象だったのかも
しれない。
そこで働く人たちの思いや努力やお客さんとの共有の
時間、歴史を重ねることで、お客さんもその店を好きに
なっていくのかもしれない。

その時代はタッチパネルではなく、大声で
「生ちょうだい」
とかオーダーしていた。

お店は美味しいものを提供する場所。
そこには人の力が欠かせない。
コミュニケーションの力だ。
人不足のなか、コンパクトな人数で回していくには
ITの力は不可欠であるけれど、そこに人の力も欠かせない。

一生懸命やっている姿。
自分はこうなるぞ!
を夢をもって打ち込んでいる人の表情。
そこに惹かれ、応援したくなる気持ちも生まれる。
店は、まさに生き様、仕事ざまが見える空間である。

同じ商品を用意しても、売れる店売れない店は、
店長の力か。
あるチェーンの方が、店長が違うと売り上げが2割
違うということも言われていた。
とてもよくわかる、納得する。

やっぱり店は人の力で結果が変わる。
飲食店だけではない。

最近、欲しいモノがなくなってきている原因と
この現象は関係がありそうだ・・・。

人の力。自分は磨き続けたいし、その大切さを
伝え続けたい。

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