ステークホルダーとしての責任。

今年も、株主総会のシーズンになった。
前年度の業績発表を終えた企業は、次は総会準備となる。
その昔は、総会に行くだけでお菓子や自社製品など
優待が受けられると、それをもらいに来るのが目的
という株主もいたが、その習慣もなくなり、モノ
目当てではなく、投資先の企業の動向を知りたい、
トップの話を聞きたい、また質疑応答したいと
いう株主だけが参加するようになってきた。
これはこれで本来のあり方だと思って見ている。

さて、その総会。
議長は私が知る限りでは、その企業の社長がつとめる。
社長のプレゼン力だけでなく、ファシリテーション力、
コミュニケーション力も問われるし、他の役員たちとの
連携も不可欠であり、その様子からその社風が垣間見える
こともある。
企業のことはもちろん、株主の考えていることを知るなど
いろいろ勉強になることも多く、参加した場合は、
しっかりその会社の実態を改めて確認する機会とさせてい
ただいている。
実際、顔も知らなかった社長の存在を総会で知り、その人
の発信力により、その企業が好きになったということも
ある。これまでは経験がないが、その逆もあるかもしれない。
社長の存在感は、発信力は極めて重要だ。

さて、その総会。業績報告などは事前に準備ができる。
議案や報告事項に関する質疑応答が一番の難所。
モノ言いたい、聞きたい株主から出てくる質問に
対して、丁寧に対応せねばならない。
そこで場の空気が変わってしまうこともある。
事前準備ももちろんしっかり行う、想定質問への
対応、練習も行うはず。それでも本番には思いも
寄らぬ質問が出されることも多い。

先日、出席したとある株主総会。
多くの株主が挙手をした。
議長から当てられた人から順に質問をする。
一人一問と言われていても、それ以上質問
する人もいれば、議案や業績の内容に関係なく
大変個人的な話や、この場でクレームのような
ことを長々と話す人もいて、つい、株主エチケット
ということを感じる場面もある。

株主は、自分が選んだ企業に投資をし、配当金
を受け取る。
企業を支える大切なステークホルダーである
ことは言うまでもない。
ただ、お金を投資することが目的。というだけ
なく、一緒にその企業の成長を見守り、応援して
くれる株主、長く株を保有してくれる株主、
周囲にもその会社の良さを伝えてくれる株主が
企業にとってはありがたいのでは?

そうなると、総会での質疑応答や発言も変わって
くるはず。
他の株主にとっても有益であったり、
共感される内容であればとても良い。
ああ、そういう一面があるのか、と企業を知る
きっかけにもなる。
超個人的なクレームや、意味不明の長い発言は
周囲に迷惑ということになる。

株主側も議事進行に協力をする。それが役割だと
思うが・・・。
株主自身の質も重要だ。

最近たずねた総会での様子を見ながら、企業は
実にさまざまなステイクホルダーに支えられており、
その関係づくりは企業経営において大変重要である
ことを改めて学ぶ。

企業は期待に応え続けていかねばならない。
安心され続ける努力をしなければならない。

そして、良質な株主を多く獲得し、長く保有して
もらえるように、不断の努力を重ねていかねばならない。
ここでも、やはり普段からのコミュニケーションの大切さを
感じた。まさしく、IRの充実である。

共存、共生。
自分だけ儲ける。の時代ではない。
選んだ会社の成長を応援する。
それが株主の役割だと思う。

いやはや、全国の議長さん、そして企業の皆さんの
ご準備のご苦労を思うと、エールを送りたくなる。

みんなで日本の企業を、社会を元気に!


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