「もどきさん」と暮らす。

私が尊敬するMさんは、本当に心が広く、大地のような心の広さとやさしさに満ちている。
おおらかで、いつも前向きで、気風がよく、男前な感じも大好きなところ。
もう7~8年のおつきあいになるが、2年前に愛妻でなく、愛夫が病に倒れ、半身不随が心配されたが
Mさんの応援・協力・行動あって、お二人でがんばってリハビリされ、どんどん回復され、お会い
するたびにご自身でできることが増え、お元気に。そして今ではいろんなところへ旅行される
こともできるようになった。
ああ、本当に仲がいい、本当に助け合っておられる。いつもこの夫婦愛に感動していた。
久しぶりにMさんとお会いして、食事しながら情報交換をする。
「旦那さん、いかがですか?」
とお聴きすると、どんどん回復され、良くなっておられるが、やはり以前と同じという
わけにはいかず、会話や行動には後遺症も残り、時々、以前の夫とは違う人といるような
気持ちになる・・とのこと。
そして、Mさんは
「なんだか、似ているけど、違う人っていう感じですかね。そう、『もどきさん』と
いるような感じ・・。でも、同じ思い出があったり、一緒にどこか行けるし、これはこれで
いいと思いますね。」
と明るく笑って言われる。そこがMさんの凄いところ。
そうか。もどきさんか・・。
健康なとき、病気やケガをしたとき・・。
同じ人間でも、いろんな状況で変わってしまう。
それも含め、その変化にも向き合い、一緒に楽しめるのが本当の夫婦、本当の
愛だと思う。
「いなかったら、さみしいですしね。そう思うと、これでいいかな」といわれるのも
心にしみる。
それから、Mさんは冗談交じりに、私に暗号のように「もどきさん」との会話を
教えてくださる。
私だったら・・。彼女はいつも、私のお手本だ。
人間で大切なことは、楽しく愛を持って生きることだ。と教えてくださっている。
私だって、もどきのマーサになることもあるかもしれないし・・。
それでも見放さずにいる人がいてくれたら、幸せだ。と思う。

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