乗る新幹線の種類で客層が異なる。全体的には高齢化社会ということで、元気シニアの旅行者は多いが、とりわけ今年開通した北陸新幹線は、「さ、旅するぞー。」とはりきって乗ってくる定年後のおじさまグループが目立つ。前回も、今回もそういったグループが隣の席だ。それも数名以上ということで、いすを向かい合わせにしたり、目的地に行くまでにもう顔を見て話したい。宴会をしたいのか、東京駅からそこだけノリノリである。皆の協力により、椅子を回転、荷物を頭上に置くとみんなほっとして自分の席に収まる。するとすぐに楽しみに持ち込んできた日本酒を開封して紙カップにいれてみんなで乾杯をはじめる。驚いたのはあるおじさんが、その人数分のおつまみを袋に詰めてもってきていることだ。小学校のときの遠足のおやつと同じ。ただし、中身はカワキモノ・・・・。
前の日から張り切って準備してきているんだな=。会話もおじさまならではだ。会社やめても、まだ会社時代の名残の話題。「会社の宴会ではいつも〇〇ビールしか出なかった。〇〇系列だからな~」こういうことは定年後も忘れていないのだ。そうか、同僚たちの旅行なのだ。つづいて、車内での記念撮影。「〇〇くん、笑って~」と必死にカメラを構える。あまりに大きな声なので、驚いてそちらを向く。口には出さないが「ここは車内だぜ、おっちゃん」という視線。カメラマンのおじさんはすぐに反応。「あ、にらまれた。」といわれてしまい・・。なんだか車内で靴を脱がず車窓を見ようとするガキ坊主を注意するおばさんのような存在になっているぞー。
「ああ、これからこちらはセミナーなのにー。おらー。仕事なんだぜ。」とおじさんたちのはじけ方にとほほ・・。と仕事もできないまま、二時間が過ぎる。おじさんたちは上機嫌で長野駅で下車していった。まさに大人の遠足を見送る・・・。
と、そんな移動時間も多い昨今。
今のシニアたちは、元気さえあれば、健康であればとても幸せかもしれない。
わが両親も同じだ。
人生を季節にたとえるならば、晩秋であろう。日々の色づきを楽しんでいるのかもしれない。
それを認めず、若いもんに負けるかと「おれがおれが!」のおじさんよりは、こちらがいいかな。
家ではどうだか知らないが、旅に出てやたら、幸せそうなおじさん。
おじさんも色づく秋の日。これからの日本は外国人3000万人?に元気な高齢者の旅人が増え続ける。
どうなるんだろう。いろんな思いを抱きながら、北陸新幹線は上越妙高駅に。季節はまもなく冬になる。
おじさまも紅葉の季節?
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