しばらく見ていない名前の方からメールが舞い込む。
あれ?へ?もしかして?
そう、24年前、ユナイテッド航空シカゴ行の機内でご一緒した方だ。
私は無料航空券でビジネスクラス。ため込んだマイルをここで使った。
NYに行き、次の挑戦のネタを探しに行くため、わくわくしていた。
その隣の席に座っておられた方からのメール。
おそらく10年以上 ご無沙汰している。
なんでも整理をされていたら、その当時の搭乗券が出てきたので
私を思い出してくださったとのこと。
疲れて乗り込んだ、しかも台風で出発が遅れた便であり、念願の
ビジネスクラスであったので、ゆっくり休みたかった。
だから、隣の人とも会話をしないようにしていた。
乗って最初の機内食を美味しくいただき、誰にも邪魔されない
メールも来ないし・・と、早速眠った。
そして目が覚めたら、事態が急変。
何やらいつもと違うアナウンス、聞き慣れない言葉が飛び交って
いる。何か起きたのか。おかしい。
さすがに、心配になり、隣の人に声をかけた。
「何か起きましたね。何でしょう?」
「ペンタゴンとか言ってますね。戦争ですかね?」
その言葉に絶句した。
はあ?戦争?なんで?そんなこと言っている?
さっき成田を出たときは、世界は平和、アメリカも問題なし・・
だから、こうやって飛行機に乗ったのに・・・。
間もなくして、その飛行機は目的地であるアメリカに入国せず、
アラスカのフェアバンクスに緊急着陸。
ここから、わがNY行きの旅は、人生初の体験へと変わる。
いただいたメールで、この24年間のあのまさに、機内での
驚き、焦りが明確によみがえった。
そう、そのときのお隣さんだった。
あの事件から10年ほどは、この機内で出会った強運かつ
ポジティブな人たちと元気にやり取りを続けた。
フェアバンカーズとして、テロから逃れて、元気に
生きてることへの感謝を共有しながら、毎年9月11日になると
会ったり、連絡をしていた。
そしてその後、フェイドアウト・・・。
そんななか、いただいた昨日のメールに、何か懐かしく、
また新たな縁を感じた。
ああ、あのテロからもうすぐ四半世紀になるのか。
世界はあれをきっかけに大きく変わった、変わりすぎた。
憎しみや分断が加速した。
ああ、時計をあの前に戻したいと改めて思った。と
同時に、飛行機の隣りのシートに座ったというご縁で
また思い出していただけて、まずメールでお互いの
元気を確認できたことが、本当にうれしかった。
その方ももう70歳を迎えられるとのこと。
そう、その頃は50前だったのだ。
私は?
メールを送ったあと、その人のことをネットで
検索して、確認した。
思わず、懐かしく、「ああ、ああこういうお顔だった」
と笑みがこぼれる。
近々、東京で再会する。
「アメリカも、変わりましたね・・・」
そんな会話から始まるだろうか。
あのとき、それぞれが夢と希望をもって、向かった
アメリカ。
今、同じ気持ちにはなれないのは、とても残念であるが、
それでも、同じ空の下、オーロラを見た仲間(同士)が
今も元気でいてくれたことが、
ほんとうに、本当にうれしい。
24年前の搭乗券。
私も確かに、どっかにしまってある・・・。