
何百年も同じ顔で、その時代時代の人々を励まし、慰め、見守る。
そんなことができるすごい存在。仏像や、マリア像など、信仰の対象
物は、表情が大切だ。
世の中には、無数の仏さんがあるけれど、私が一番好きなのは、
ふるさと岐阜 正方寺にある、この大仏さん。かご大仏とも言われて
おり、製法にも特徴があるようだ。
そして、大きさでも、知る人ぞ知る、日本三大物のひとつ。
と聞くと、驚かれる方も多いが、
そう、奈良や鎌倉に負けないお宝が岐阜にはある。
1812年の完成ということであるから、出来上がってすでに200年以上が経過。
お寺さんはこの大仏はもとより、この仏さんがいらっしゃる大仏殿の維持
管理にも力を注いでおられる。火事や自然災害、経年劣化からお宝を守るのは
大変な仕事だ。
以前この大仏さんのことを、地元の新聞のコラムに書いたと
坊守さんに告げたら、たいそう喜んでくださって、
「うちの大仏さんのファンでいてくださるんですか!!記事にしてくださったんですか!ありがとうございます~。」
と、ちょっと興奮気味に話してくださったのが印象的であった。
そうファンなんだ。その表現がこの大仏さんとの関係にはふさわしい。
檀家さんですか?よりも、ファンがいい。
それはともかく、この大仏さんの表情は本当に愛らしい。
思わず、話しかけたくなるのだ。
奈良や鎌倉の大仏さんには、そういう気持ちがおきなかった。
この岐阜大仏さんは、人間味があり、笑っておられるような、
耳のサイズのバランスがユーモアにつながっているだろうか。
今回久しぶりに足を踏み入れ、
「お元気でしたか」
と声をかける。
大仏さんから、表情を学ぶ。
話しかけたくなる人になる。
この人なら、聞いてくれそう。
そんな優しさを醸し出すように。
普段、つい、考え事をしていると眉間にしわが寄るけれど、
時々、いい顔を見て、いい顔を学びたい。
歴史を越えて、いい顔は変わらない。