言葉を味わう。

いろんな世界、業界のことに触れることは、大変新鮮で勉強になる。
たまたまキリスト教関連の広報誌を見ていたら、
「派遣」という言葉が出てきて、目が留まった。

私たちの日常生活において、派遣といえば、派遣社員とか自衛隊の派遣とか
そんな場面で使う、耳にする。
派遣元から派遣されて、派遣先で契約時間内で
契約した仕事を行う。と、そんなイメージ。
であるから、その資格を有する人であれば、誰が行っても対応できる仕事であり、合理的な雇用、働き方、仕事のスタイルのひとつが「派遣」。
・・・と、そんな風に受け止めていた。

一方、キリスト教の世界での「派遣」とはラテン語ではmission。英語でいえば「使命」の意味である。
神様からの命を受けて、いのちをかけても、全うする仕事。それが「派遣」とのこと。この12月3日に帰天したフランシスコ・ザビエルのアジアへの布教という大きな仕事。こちらも「派遣」ということになり、また隠れキリシタンたちが時の政府に弾圧され、島流しにあったり、さまざまな極刑にされたこと・・これも神様からの派遣。何があっても信仰を貫き通すという使命なのだそうだ。

なんと、この世界での「派遣」とは重い意味なのだろう。

クリスチャンでなくても、今この言葉について改めて考えてみる。

自分は今、ここでこうして生きていること自体は派遣だろうか?
誰の命令とか、オーダーとかは別として、なぜこのように毎日がんばって生きようと思うのだろう。
自分なりの生への使命感はある。たとえば親のことをちゃんとしなくちゃとか、
世のなかを元気にしたいとか・・・。これらの思いを胸に小さいながらも、努力するということは、生きることに対しての使命感がある。
見渡す限り、どこからも頼まれていないけれど、見えない力にそうするようにと導かれているのかもしれない。
と、この「派遣」という言葉から自分の生き方について、思いを巡らすことになった。

言葉は面白い。たったひとつの言葉から、さまざまな背景や意味が見えてきて、
人がその言葉を使いコミュニケーションをしているのだと思うと、改めて
言葉とは最重要のコミュニケーションの道具であると思えてくる。

そんな風に、出会う言葉をしっかり味わい、世界を広く深く理解して、豊かに生きる糧にしていきたい。

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