枯葉・・。シャンソンの名曲としてあまりに有名で、個人的
には、イブ・モンタンのあの低く甘い、いかにもパリジャン
的な歌い方が若い頃から大好きで・・・。
国を問わず、出かけたバーやジャズクラブで何度も出会えた
この名曲。その町に合わせたリズムとコードで、旅の疲れや
日々のストレスを癒してくれた。
ニューオーリンズで聴いたのは、さすが本場のジャズナンバー。
今もくっきりプレイヤーたちの演奏姿が浮かぶ。
また、子どもの頃から、レッスンでずっと弾いていたから、
この曲は自分の音楽人生のなかでも、大切なレパートリー。
今は自分のアレンジで、ピアノ&ボーカルで演奏するのが
自分流。
4枚目のアルバムにも入れているが、とにかくいろんな思い
出が混じった1曲である。
枯葉といえば、パリのルーブルからシャンゼリゼ通りに
向かって歩いた時のことを思い出す。20代から40代に
かけて・・・の寒い冬のパリは思い出深い。
クリスマスのイルミネーションのきらめきと、枯葉
はとても対照的に映った。
まさに、シャンソンの枯葉がそのまま絵になったように
街路樹から枯葉が舞い降りてくる、それが道に重なり
積もっていく。
これを見て、とても感動して、そこに行くたびに、
パリ土産として、きれいそうなイチョウの葉を1枚拾って
ノートに挟んで持ち帰り、長年大切にした。
あのとき、あそこで拾ったパリの枯葉だ・・と。
まあ、乙女のような行動をしていた頃があったのだ。
と、枯葉といえばいろんな思い出がある・・。
一方、実家の枯葉。
このところ、急に冷え込み、風が吹き込み、一気に
庭の木から葉っぱたちが落ちてくるようになった。
数日行けない日があり、久しぶりに行ったら、
大量の落ち葉が・・。庭だけでなく、道路や側溝まで・・
地面が葉っぱに埋もれている。
予想はしていたが、なんともいえない気持ち。
これを見たとたん、枯葉は情緒あるイブモンタンの歌う
あの枯葉とは別の存在に思え、誰にもぶつけることが
できない思いになる。
そのあとは、あきらめの境地で修行のようにひたすら、
落ち葉をかき集める。
雨が降った後であると、まさにぬれ落ち葉を何かに例えた
句があったが、拾いづらくて、これまた困ったもんだ。
とにかく、葉っぱをなんとかせねば。
しばらく無心になって、彗をつかって、掃き集める。
落ち葉の始末がこんなに大変なんて、親が生きていた頃は
まったく気にも留めなかったが、こんなことを毎年やって
いたのかと改めて、申し訳なかったような気持にもなる。
そして、葉っぱをあつめて、ごみ袋に入れてそれがいっぱい
になってくると、なんだか達成感が生まれてくる。
もうちょっと頑張ろう!もう少し!もう一袋集めよう。
といつの間にか、一生懸命やっている自分がいる。
自分が頑張るしか、落ち葉がなくならない・・・。
落ち葉拾いは、無心になれる自分との対話の時間。
まるで、座禅を組んでいるような・・・。
そして、空から見られているような・・・。
ああ、枯葉よ~。
おかげさまで、周囲の協力もあり、だいぶ片付いていて、
木に残った葉っぱも、ほぼ落ちて・・。
身も心も、冬支度である。



