ピアノ売り場はとても楽しい。
特別な、博物館のようだ。
多くの楽器を展示してあればあるほど、
どれも弾いてみたくなる。弾き比べが楽しい。
家電売り場やSC内にあるような楽器売り場は
自由に試弾できる楽器もあるが、
「試弾されるときはスタッフにお声掛けください」
と鍵盤の上に注意書きがある例も少なくない。
名古屋市内にある大手楽器店。
フロアごとに扱っている楽器が異なるが、
出前コンサート用の電気ピアノが今回の目的。
もう少し本格的な音に近いものが良い・・
と思っていたら、ちょうど見つかった。
「ちょっと弾いていいですか?」
許可をいただき、しばらく弾いてみる。
ああ、これならいいかも。
今使っているピアノより少し重くなるが、まあ
ケースに入れたら、移動もできるだろう。
「これ、注文します」
あくまでも電気ピアノであるので、
お値段も5ケタに収まる。
まあ、移動ピアノは高価でなくてもいい。
在庫なしで、入荷は11月末以降だとのこと。
伝票処理などの待ち時間、せっかくここにきているのだから・・
「ピアノ弾いてていいですか?」
お店の人も、一応、購入してもらうのだから
「どうぞ」と笑顔で。
では・・・。
私はその売り場にあった一番お値段の高い
ピアノの前に座った。
お値段は500万円近く。
さっき注文したピアノとは2ケタも違う!?
高級車に匹敵する値段。
(確かに子どものころ、親がそう言っていた・・)
この高級なピアノは
「どんな音がするんだろう」
と純粋に興味が湧いた。
許される限りの時間、その高価なピアノを
弾いた。クラシックからジャズ、タンゴ、シャンソン・・・。
なかなかいい音色がする。なめらかでタッチもピアノ感が
あって、妙な表現であるが、雑味がない感じ・・。
高いだけ、ある。
しかも、これだと、防音の心配もいらないのか・・・。
しばし、私は夢の世界に・・・。
同じ88鍵盤なのに、
かたや5ケタで持ち運んで、施設で演奏。
かたや500万円のピアノはサロンコンサートか?
同じ88建販でも、向かう世界は異なる。
でも、同じ88鍵盤で、それなりに音はするので、
どちらでも演奏できる。
ピアノの種類と使用場面は本当に幅広い。
さてそのお高いピアノと、実家のピアノはどう違う?
・・・実家に行き、マイピアノの重い蓋を開けて
弾き始める。まず、この蓋の重さから違うのかも。
うーん。やっぱりこの音がいい。
もう、おばあさんピアノかもしれないが
この年季の入った味わい深い音色が、
最高だ。
500万円のピアノに負けない音色。
総合点でマイピアノに軍配。
ピアノは時間とともにストーリーが生まれる。
同じ88鍵盤でも進む道は、それぞれ違う。
ふと、先日の店にピアノを購入にやってきた三世代家族のことを思い出した。
お孫さんにピアノを買ってあげるおじいさん。
長くピアノを弾いてくれるといい。
30年以上、蓋をしたままであった自分の反省も込めて。
愛する88鍵盤。これからも一緒に歳を重ねる。
